『舟木一夫特別公演』の芝居とコンサートの二部構成の芝居のほうである。徳川吉宗のご落胤(らくいん)と称して世を騒がせた天一坊という実在の人物がいたようで、ご落胤かどうかの詮議は定かではなく、他の罪で処刑になったようである。
この事件をもとに歌舞伎、講談、映画など様々な描き方の物語へと広がって行く。今回の舞台『天一坊秘聞 八百万石に挑む男』は、東映映画『八百万石に挑む男』(監督・中川貞夫/脚本・橋本忍/主演・市川右太衛門)を元にしていて、斎藤雅文さんが脚本を担当している。(演出・金子良次)天一坊については、ほとんど真っ白で観たのであるが、面白かった。歌い手さんの公演はコンサートもあるので、芝居には時間的制約があるが、それが効を奏して、1時間45分で休憩なしである。幕もなく<場>で進むから暗転で、その間が待たせない。そして、目は舞台の闇を見つめさせつつ、耳の方に音楽を与えるため、待たせるという感覚ではなく、まだ見ぬ次の<場>を好奇心旺盛に音楽に身を任せる。
天一坊が、徳川吉宗の子なのか、それとも偽物なのか。このところが、2転3転する。若い天一坊は、名乗り出るための後見の軍師として、山内伊賀之亮と出会う。この伊賀之亮に出会うことによって、天一坊は、山内伊賀之亮、徳川吉宗、松平伊豆守、大岡越前、の政治の渦に巻き込まれていく。それは、一人では挑めぬ徳川幕府に対する軍師・伊賀之亮と結束しての上での事であったが、伊賀之亮には、天一坊に話していない、若き日の吉宗との関係があった。そして、天一坊にも、伊賀之亮に話していないことがあり、それが露見しても崩れない二人の関係は、天一坊の育てた和尚の出現によって、思わぬ事態を生ずる事となる。
天一坊のご落胤の審議を避け、違う罪で罰しようとする松平伊豆守との<網代問答(あじろもんどう)>も見どころであり、吉宗と伊賀之亮の若き日の二人の約束の場もこの芝居に面白さを加えた。
さらに、徳川吉宗の私的な感情を思いながらも崩してはならない徳川家について、妻・りつに食事の膳で説明する大岡越前。妻・りつでなくてもよくわかる。小道具の使い方も上手い。
若い天一坊は、自分の存在価値がわからなくなる。そして伊賀之亮は、この大きな事態に今だ対応できない若者の行く末を考え、大岡の役宅を訪ねるのである。
大岡は、娘の手毬で紀州の道成寺から清姫、安珍の話へと持っていき、動かせぬ事態を伊賀之亮に悟らせ、伊賀之亮は、ことの真相を話、天一坊のことのみ託すのである。ここがあるので、吉宗と天一坊の対面では涙してしまう。伊賀之亮、吉宗、大岡の三人は立場が違っても、天一坊に対する思いは、皮肉にも同じ気持ちで結ばれる。天一坊を、もう一度野に放ち、自分の力で生きて行く道筋をつけるために。
この本は残ると思う。配役も良い配置である。
山伏とご落胤を装う変化と、変動する事態に戸惑う心の動きの天一坊を若さで演じた尾上松也さん。面白がって八百万石に挑む男が実は、果たせぬ夢を心に秘めていて、その私的な思いを天一坊に担わせた不覚を悔い、最後は自分の死に場所を見事に作る山内伊賀之亮の舟木一夫さん。登場は少ないが、伊賀之亮との事も天一坊のことも解っていても、将軍の立場を崩せぬ徳川吉宗を田村亮さん。伊賀之亮と吉宗の関係、吉宗と天一坊の関係を知っても、将軍吉宗の地位をあくまでも前面に出し、親子の対面も吉宗の個人的な振る舞いとして、そっと背中を向け見ない立場をとる大岡越前の林与一さん。
見捨てられた親子の辛さを口にし、一般の世のならいを夫に告げる大岡の妻・りつの長谷川稀世さん。自分の過ちを直接伝え心から侘びる和尚の尾上徳松さん。何んとか別件で葬り片を付けたい松平伊豆守の林啓二さん。皆さん堂に入った立ち居振る舞いで、安心して台詞を堪能し、真実が明かされていく過程を楽しんだ。この天一坊のご落胤の話に乘った人々の閉塞された社会からの脱出も伺い知れる。そして血筋とは何なのであろうかという疑問も。
一番面白いのは、舟木一夫さんが、俺がスターなんだから俺を見てくれよではなく、芝居の面白さを観てくれよ、と言っているように思える芝居であるということである。コンサートでは、どうして芝居の後にこんな声がでるのかと不思議に思える声量であった。
舟木一夫さんのファンです~舞台の詳しい感想を拝見しました。
細部に亘る読み説きに感動いたしました。
私は9月4日に観劇しました~やはり良く出来た物語と思いましたのでこうして説明頂き俳優陣のみなさまの素晴らしさにも同感いたしました。
温かな文章に感激でした~ありがとうございました。
ききょうさん、こちらこそご丁寧なコメント有難うございます。
<温かな文章に感激でした>とあり、赤面です。もう少しヨイショしとけばよかったかなと。
観たままの素直な気持ちですので。
舟木一夫さんのファンのかたのために舟木さんに要望を出すとすれば、立ち廻りをもう少しスムーズに決めて頂きたい。
そこが決まれば最終の絵がはっきりとすると思います。
時間も立ちましたのでその辺がどう変化したか、興味深いところです。
歌舞伎の場合は、とんぼといって走っていってくるっと空中で回る練習をしていて身軽さのある役者さんが揃っています。
そうした訓練された役者さんが取り囲みます。
屋根の上には、伊賀之亮を幕府の威信にかけて捕らえるということで捕り手の人数も多いです。
その辺も、慣れた役者さんかどうかでも立ち回りも違ってきます。
伊賀之亮にとっては最後の花道ですから。
友人に面白いので観ておいたらと薦めましたので、確か明日あたり行くはずです。
その友人は私の書き込みは読んでいませんので、どのように観るか楽しみです。
返信が遅れて申し訳ありませんでした。
悠草庵さま
お忙しい中 沢山のコメント返信もおありの中 私にも丁寧な返信を頂きまして ありがとうございました。
先日夜 拝見しておりましたが、返信遅くなりましたー恐縮ですーすみません。
舟木さんの立ち回りについてのご指摘ー確かにーと 詳しいことは分かりませんがー時代物であればーの共感がありました。
初日に大屋根への階段を上る際 袴の裾が引っ掛かったようで、階段を狭くして一段増やされたそうでした。
ファンとしては 危ないことはしてもらいたくないというー(笑)老婆心だけなのですが、、、
悠草庵さま のサイトへ案内下さったのは 舟木一夫さんのファンである 春日の局さん という方です。
「れんげ草のさんぽ径」 というブログを書いて居られます。
毎日のように 詳しく ネット中継して頂き ファンとしては本当に感激です。
関西圏からもう何度も通って居られます。
ききょうも 毎日でも演舞場詣でをしたいところですが(笑)そうもいきませんのでー仕事の終わったこのような時間に拝見して舟木さん情報をもらっています。
私は 青春時代に舟木さんの歌声に夢をもらってーまたそのお人柄に憧れをもっていました。
忙しさと子育て、毎日の生活でいっぱいの家業を頑張って繋いできましたが、ふたりの娘が嫁ぎ 親を亡くし 寂しくなったこの10年近くーまた舟木さんの歌に浸っています。
数年前に横浜でのコンサートへ行きそれからは
年に数回(関東圏に限ってー仕事の休みの水・木曜日だけですが)楽しんでいます。
悠草庵さまのように優雅な生活は憧れですね~
多くの舞台を観劇なさっての感想などを これからも拝見させて頂きたいと思っています。
丁度連休の忙しい時期でしたので まだ少ししか読めていませんでした。
(明日が終わればまた静かになりますので。)
25日にサンクスコンサートには行く予定です。
悠草庵さまは あれからご友人のかたの感想をお聞きになられましたか~また楽しみにしています。
ありがとうございました。
ききょうさん納得しました。急にアクセス数が増え何事が起ったのかと驚き、ネットの怖さというか、影響力を知りました。
きちんとそのことも頭に入れておかなければと考えさせられました。
その点で、ききょうさんに感謝いたします。
友人の感想は、舟木さん素敵だったそうです。花道での姿なき吉宗に向かって語るところが気に入ったそうです。芝居の内容も面白く、久しぶりで良い芝居を観たといっていました。薦めてくれてありがとうと言われましたので、私もホッとしました。
最後の立ち回りも豪快で綺麗だったそうで、ききょうさんのお話からも、舟木さんは色々工夫されたのだと思います。
コンサートに関しては、芝居の余韻が良いので帰ろうかと思ったそうです。思いとどまって観はじめてやはり帰れば良かったと思ったとか。歌謡ショーではなく、プレゼントショー?と驚いたんだそうです。きっとききょうさんのような熱烈なファンが多いからと思いますが。
私も、あれだけの芝居をして、あそこまでファンサービスをする必要があるのかと思いましたが、それは長い間の舟木さんとファンの方々とのつながりなのでしょう。
そいう彼女も友人と観た映画の主題曲に涙したそうです。その友人と10月に数十年振りで逢うらしく何か個人的事情があるらしく、忘れていた昔の事を思い出したんだそうです。人それぞれの思いがありますからね。その友人と逢った時は、舟木さんの事が話題に出るかもしれませんね。
彼女は、ここ数年、歌舞伎も観るべきものは観たからもういいと言っていたのですが、また観ようかなと言っています。松也さんに関しては、チャラチャラしてると思ったけどやるのねとのことです。チャラチャラは別として、まだ若いですから、歌舞伎では、良いときもあれば、駄目なときもあります。天一坊は、伊賀之亮、吉宗、大岡たちには無いつばさある鳥の役目を果たされました。
友人の感想など取り留めなく書きました。
おはようございます。
お忙しい中早速の返信ありがとうございました。
今朝は忙しいのでまた明日にでも書きますね。
ありがとうございました。
ご友人の感想うれしく拝見しました!
悠草庵さまのすばらしい文章―言葉運びーいいですね~~
感激です~
ありがとうございました。
またにします。
悠草庵さま
遅くなり申し訳ありません。
実は24日急に演舞場へ行きました。
舟友さんから24日昼の部のチケットをプレゼントして頂き、体調が不安で止めていましたがーやはり楽日の楽しさは夢でしたので~そうしたらー午後の部もあったのでしたー
またそちらも観てしまいました。
家族(1名 ー 夫ですが^^)を残したまま2日間舟木さん通いだったのです。
私の中学2年からの 舟木熱を知っているのでー快く駅までの送迎をしてくれますがー申し訳なく思いながらも
2日間水・木曜日私の休日に重なることは稀なので行かせてもらいました。
そんな訳で詳しい感想を書かずー自分の弁解ばかりで済みませんがー
PCに向かっている時間がありませんでした。
また明日も仕事なので早く休みます。
実は小さな小さな寿司屋を夫婦でやっています。
主人は 築地市場へ行くのでもう休みました。
私は昨年の今頃 病人でしたので、心配をかけるのでもう休むことにします。
またゆっくり数日後にー申し訳ありません。
満足しています~
ききょうさんお忙しいのに気にかけてくださり有難うございます。
好きな役者さんとか、芸人さん、歌い手さん、はたまた日常とは違う世界に楽しみがあると、生活にも張りが出てきますよね。
自営業で、お客様仕事で、美味しいものを提供されるとなりますと、ご主人共々毎日神経と肉体を使われておられると思います。きっとご主人も奥様が元気でそばに居てくださることが喜びで、舟木さんへの観劇も快く承諾されておられるのでしょう。
私は、興味あることにぶつかると自分の世界に籠りますので、気になさらず気の向いたときにお尋ねください。
どうぞお身体だけは大切にされてください。
悠草庵さま
遅くなりました。
この時期なのに まだ忙しい日が続きました。
今日やっと拙い自分のブログを書き込みしました。
みなさまのように詳しく書くこともなくただ舟木さんへの感謝の気持ちだけですが、、、
身体のほうも少し不安もあってメールも思うように出来ないのでまた時間をおいてそのうちにーということにさせて頂くことにします。
本当に優しいお心 ありがとうございました。
ききょうさん、度重なるコメントありがとうこざいます。
ききょうさんのコメントを外出から帰り読ませていただき、季節の変わり目でもあり、喘息の持病をもっている友人のことが気にかかりメールしたところ、元気そうな返信がもどり安心したところです。
ききょうさんのコメントがなければ、友人への近況の問い合わせももっと遅くなっていたでしょう。有難うございます。
季節の変わり目は、色々な面で身体の不調が起こりますから大事にされてください。